スペシャルインタビュー

iidaの最新モデル「LIGHT POOL」と、「Art Editiions Concept」の作品について、iidaサービス・プロダクト企画本部プロダクト企画部iidaグループの宮垣知枝さんにお伺いしました。
―― 開発コンセプトを教えてください。
LIGHT POOL その1

宮垣氏

“風景としてのケータイを目指したい”という所で今回は開発を進めてきました。ケータイ電話の外側だけではなくて、お客様の空間や時間、気分、そういった所まで含めてデザインしようと考えました。
例えば夕焼けや、霧などを見て何か感情が掻き立てられると思うのですが、そういった”お客様の心”につながるようなプロダクトを目指しました。
―― 坪井さんも発表会のプレゼンテーションで、「現象」という言葉を頻繁に使われていました。具体的にはどういった部分がそれらを表しているのでしょうか。
LIGHT POOL その2LIGHT POOL その3

宮垣氏

大きくは2点ありまして、1つ目はこの「デザイン」です。
ケータイ電話は手のひらサイズで、そのサイズにあったデザインが施されることが多いのですが、今回はあえて、建物のような大きなモノに使われるデザインを取り込んでいます。
建築でよく使われる「トラス状構造(三角形を基本にして組んだ構造)」をモチーフとして、建築物であるかのようなデザインに仕上げました。
2つ目は「光と音楽」ですね。
イルミネーションというと、いままでケータイの業界でも様々に使われてきたと思いますが、どちらかと言えば、記号的な使われ方が一般的だったと思います。
それをまったく違う次元で何かできないか?と考え、光と音楽を組み合わせて、“ストーリー性のある映像のような、今までに無いモノにする”ことを目標に取り組んできました。

建築の様なデザインと、様々なテーマからなる光と音楽により、携帯電話を取り巻く空間までを変える、まさに「現象」を表現するプロダクトに仕上げました。
―― 音という所では、ステレオスピーカーではありませんね。

宮垣氏

サイズとのバランスで今回は断念しました。
―― 光と音楽は高木正勝氏の制作・ディレクションですね。いくつか参考になるような光と音楽をご紹介いただけますか?
LIGHT POOL その4

宮垣氏

ロングプレイモードでは、美しいメロディのものから、軽快なもの、癒されるものなど、様々なテーマの光と音楽の演出を10曲をご用意していますが、そのうち一部をご紹介します。
「Spring」という曲は、女の子が軽快なステップを踏んでいる様子を音楽と光で表現しています。
「Pictorial」は、鮮やかな光を楽しんでいただける曲で、馬が走っているさまを表現しています。時々鳥が飛びます。
「Candela」はローソクのゆらめきのような、リラックスできる光と音楽をお楽しみいただけます。
また、「Circle」では、0時から23時までの一日を、軽快なリズムと数字の光で表現しています。
もちろん男性が好むようなものも入っています。たとえば、「Game」は、マスゲーム風、主人公が砂漠や森を歩くさまが目に浮かぶようなRPG風などの、どこか懐かしい光と音楽です。
曲は大体1分~5分の間で作られていて、一番長いものは「Astro」です。宇宙をテーマに、星の瞬きや流れ星などを光で表現しています。
なお、ロングプレイモードの10曲に加え、着信時やケータイ開閉時の音楽や光なども全て、高木さんに制作・ディレクションしていただいております。
―― このスピーカーでもまったく遜色なく美しい音ですね。
LIGHT POOL その5LIGHT POOL その6

宮垣氏

高木さんには、スピーカー特性なども考慮いただき作っていただいています。
―― 今回は、29歳の坪井浩尚氏という若手デザイナーを起用したこと、更に光や音楽の制作・ディレクションに同世代の高木正勝氏を起用していますが、狙いは?
LIGHT POOL その7

宮垣氏

お二人の世代のクリエイターたちは、いわゆる”ポケベル”から始まって、”PHS”等を経て”携帯電話”、と機器を使いこなすだけでなく、新しいコミュニケーションスタイルを創りだしてきた世代だと考えています。そういった世代がもつ新しい感性を、iidaとしても積極的に取り込んでいきたいと考えています。

高木正勝さん起用の経緯ですが、開発過程でブレストを重ねていく中で、光と音楽の可能性を感じ、「他のクリエイターと共に創り上げていった方がいいのでは?」という話が出てきました。坪井さんと同世代、作風がLIGHT POOLのコンセプトである「風景」「現象」に合う、映像と音楽の両方を手がけてらっしゃる、というところから高木正勝さんに依頼した所、快く引き受けてくださって、お二人で共に進めていくことになりましたが、素晴らしい連携プレーで光と音楽を仕上げてくださいました。
―― 今回はケータイ端末としてのスペックも高いですね。“機能はシンプルでいいから、デザイン重視”という、最近のiida端末路線からの変更でしょうか。

宮垣氏

iidaとしては、一貫して“デザインに関心・興味がある”ユーザーをターゲットにして今まで取り組んでおり、その方針は継続しています。その中でも、今までの「misora」から「lotta」までで、デザイン重視×シンプル機能を好む一定の層のお客様の需要には応えられたと考えているので、この夏の断面からは、デザイン重視しつつスペックも充実している充実させたモデルをご用意しました。
―― カラーバリエーションで、最初に決まった色はどちらになるのですか。

宮垣氏

「WHITE」と「BLACK」になります。もともと”建築物みたいな美しさ”を目指していたのでこちらの2色がまず決まりました。「PINK」は金属調になっておりまして、コンセプトに沿いつつカラバリに幅をもたせるために採用しました。他にはシルバーなども候補に上がっていました。
そして、坪井さんがこだわりぬいた部分が、このフレーム部分と窓のカラー・質感の対比です。「WHITE」と「BLACK」は光沢のある窓にマットなフレーム、逆に「PINK」はメタリックなフレームにマット仕上げの窓になっています。形も凹凸のある形状なので、光にかざした時に対比がより美しく見えるように仕上がりました。
―― 表面の形状に独特な凹凸があります。この構造には苦労したのではないでしょうか。
LIGHT POOL その8LIGHT POOL その9

宮垣氏

形状にはこだわりぬきました。あえて、三角の窓とフレームを一つのパーツにしてデザインを印刷にしてしまう、などはせず、コンセプトに沿うような構造体に見せるために、別パーツで組み合わせる形で作っています。実装の過程では、カメラなどの部品の位置を少し変えたら、三角の形がくずれたり凹凸の規則性がくずれたり…。非常に苦労しました(笑)。
―― このデザインが決まってから高木さんに光と音楽の依頼がいったわけですね。
LIGHT POOL その10

宮垣氏

”どこがどのように光るのか”など、三角形の窓の光り方の目処がたった時点で具体的にお願いをしました。三角の窓全体が、端まではっきりと、かつ隣の窓に光漏れせずに光るようにする検討には非常に時間をかけ、窓部分の素材選定から、色、塗装のカラーや膜圧等、何度も検証を重ねて実現しました。
高木さんには短期間に約100個のパターンを作っていただきました!それも、おそらく通常の音楽制作とは違う、ケータイ開発のスケジュールで膨大な量を作っていただたので、「一時期はこれに掛かりきりだった」と言われてしまいました(笑)。
様々なバリエーションの光と音楽を作っていただいたので、お客様も家で飽きることなくお楽しみいただけるのではないかと思います。
―― 「光」と「音」をこだわったという新しい試みは、実はターゲットユーザーも新しい層を開拓しよう、と目論んでのことなのでしょうか。
LIGHT POOL その11

宮垣氏

LIGHT POOLについても、お客様のライフスタイルに応じて、様々な使い方があると考えています。例えば、インテリア照明として使うなど。結果として新しいジャンルのお客様も獲得できるモデルと考えています。
―― LIGHT POOLは、まさにライフスタイルを提案するモデルですね。

宮垣氏

iidaは、ケータイや周辺アイテムLIFESTYLE PRODUCTSで、お客様の暮らしをデザインすることを目指しています。LIGHT POOLのオプションの卓上ホルダは、あえて大きくし、シンプルに仕上げていますので、LIGHT POOLを卓上ホルダに置いて、まるでインテリア照明のように光と音楽を楽しみながらお客様により豊かな気持ちで毎日を過ごしていただけたらと考えています。
今回は端末発表会で紹介されていた、「Art Editions Concept」の中から、「PixCell via PRISMOID」(ピクセル ビア プリズモイド)もお持ちいただきました。
―― こちらは彫刻家・名和晃平氏の作品ですよね。発表会ではご本人から、これらの透明な球体(Cell)は情報を可視化したものだという説明がありました。
LIGHT POOL その12LIGHT POOL その13

宮垣氏

正確に言うと、世界中を飛び交う情報がCellに取り込まれ、PixCell via PRISMOIDを通り抜ける瞬間を可視化して表現しています。

同時に発表したモニターではデジタルとアナログ間の現象をコントロールする事に挑んでいます。
「アナログ」のモノをケータイで撮った時は「デジタル」に変換され、そのデジタル情報をこの透明な球体で覆われたモニターに転送すると、立体的に様々な見え方をする「アナログ」に引き戻される、という考えかたです。
―― 今回の「Art Editions」の製品化は未定、と発表がありました。発売に結びつかないケータイのアート作品というのは今回が初めてだと思うのですが…
LIGHT POOL その14

宮垣氏

第1弾で発表いたしました前衛芸術家、草間彌生さんの「Art Editions YAYOI KUSAMA」に関しては、販売させていただきましたが、今後は、アーティスト様と、そのアーティスト様の作品に応じて、販売可否を判断していきたいと考えています。今回、発表した2作品に関しては、“見ていただくこと、体感していただくこと”が一番適している、と考えて、今回はコンセプト作品の発表とさせていただいております。
―― デザインプロジェクト時代はコンセプト的なカッコいいデザインのケータイが実際に発売される、という「コンセプトデザイン→商品化」という流れがありました。今回は販売化が未定のコンセプトモデルということになると、ユーザーは一体どういった見方をすればいいのでしょうか。

宮垣氏

au design projectについては、全てではありませんが、コンセプトモデル発表後、お客様の評価をみて製品化という流れもありました。今回のコンセプト作品に関しては、iidaのArt Editionsという枠組みの中で展開しています。ケータイという身近なものをアートに昇華させることで、ちょっと敷居が高いと思われがちなアートをケータイを通して触れていただく、という考えのもと続けている取り組みです。
―― 「BOTANICA(ボタニカ)」はいかがでしょうか。

宮垣氏

植物を使って今までにない作品を創り出してきたフラワーアーティスト東信氏による、身近で、金属や樹脂でおおわれたケータイと、実は身近になく、生きている植物を融合させることをテーマに完成した作品がBOTANICAです。約100個の植物のパーツを準備しています。植物のパーツは東さんがこだわった部分でして、しな垂れ具合から色合い、触感も含め、リアルさを非常に追求しています。BOTANICAも名和さんの作品と同様、“ユーザー参加型のアート”の意味合いも込めていまして、お客様がこれらのパーツを付けたり外したりすることで、植物の名前を知ったり、楽しむことができるようになっています。
今回の植物は熱帯系の植物を中心とした“エキゾチックバージョン”としての発表となっていますが、“秋冬バージョン”、“母の日バージョン”など「フラワーパック」としての展開も想像できる、非常に可能性を秘めた広がりのある作品となっています。
―― こちらは商品化イメージが具体的ですね。
LIGHT POOL その15

宮垣氏

実は、どちらの作品もケータイとしての使用をお客様が想像できるように気をつけながら作品にしています。まったくリアリティが無い物だとお客様へ伝えるパワーも減ってしまうと思いますので…。
最後にまとめさせていただくと、坪井さん、高木さん、名和さん、そして東さん、と全員75~80年生まれの“新しい世代のクリエイター”と“何か新しいこと”が出来ないか、という考えのもと、iidaの夏のモデル、作品の発表をさせて頂きました。今後も、こういった「新しい感性」も取り入れつつ、革新的、創造的な商品を出して、お客様の暮らしをデザインし、お客様にご満足いただけるよう取り組んでまいりたいと思います。
―― 本日はありがとうございました。

PAGE TOP