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- X-RAY スペシャルインタビュー
吉岡徳仁氏が手がけたスケルトンデザインで話題の「X-RAY」の発売から3ヶ月あまり。ひと通りユーザーにも情報が流れている中、更なる魅力をお伺いすべく、プロダクト推進部プロダクトマネジメントグループの堀田久美さん(以下、堀田氏)と同部プロダクトデザイングループの高井真也さん(以下、高井氏)にお話をお伺いしました。
- ―― 発売から3ヶ月経ちましたが、反響はいかがでしょうか。
堀田氏
ご好評いただいております。「X-RAY」はデザインはもちろんですが、Snapdragon搭載をはじめ機能の方も満足していただける高スペックなモデルとなっています。今はどちらかというとスマートフォンに注目が集まっていますが、フィーチャーフォンをお持ちのお客様の方がまだまだ多いと思いますので、「X-RAY」について改めて知っていただけたら、と思います。
- ―― デザイナーの吉岡徳仁さんにお願いしたのはそもそもどういった理由からでしょうか。
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堀田氏
企画がスタートしたのは2008年10月でした。これまで形状を指定してデザインをお願いするということはあまりありませんでしたが、今回は企画の時点から「二つ折り」と形状を決めていました。二つ折りの携帯電話はシンプルなデザインから高級感のあるデザインまで様々なデザインが出尽くしていると思います。その多様化したデザインの中でも、まだ何かこれまでになかったような新鮮で、そしてiidaらしいデザインがあるのではないか?そんな携帯電話をお客様に提供したいと考え、今回吉岡さんにお願いしました。
- ―― そこで吉岡さんの名前が出てきたのは?
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堀田氏
2007年に発売した「MEDIA SKIN(メディアスキン)」では、携帯電話の世界に新たに「触感」という価値を生み出し、MoMAの永久収蔵品に選定もされるデザインを生み出していただきました。常に新しい素材や技術を使い新しい切り口の作品を発表されている吉岡さんとなら、これまでになかったような新鮮で面白い携帯電話ができると思いました。
また、私がお客様の声を聞く中で特徴的だなと思うことがあるのですが、「吉岡さんの携帯また出さないんですか?」とどんなデザインとかではなく吉岡さんのデザインした携帯電話が欲しい、という声を多く聞きました。ですのでもう一度吉岡さんにお願いしたいとはずっと考えていました。機種変更していただける選択肢の一つとなるよう、「MEDIA SKIN」発売から2年経つこの時期の発売にあわせて、吉岡さんにお願いすることに決まりました。
- ―― 3色の中で実売で人気なのはどの色でしょうか。
堀田氏
男女共にレッドが人気です。レッドはプロモーションの中で多く使っているカラーですので、そういった影響も大きいと思います。通常、ブラックやホワイトのようなベーシックカラーの人気が高い傾向にあるのですが、iidaは例えばlottaのイエローやPRISMOIDのグリーンのように個性的なカラーの人気が高いという特徴があります。
- ―― なるほど。色の印象というのも選択の決め手になりますね。
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堀田氏
色にもかなりこだわっています。まず、問題となったのが、サブディスプレイの赤色のLEDを透過する色でなければいけないということです。ブルーは特に赤色を透過し辛い色で、検討の段階ではもっと透けているモノなど色味や透明度の違うサンプルをいくつも作り検証を行いました。透明度の高いモノはLEDはきれいに透過するのですが、どうしてもプラスチックというか、チープな感じになってしまっていました。色を決める上で今回は”高級感のある大人のイメージ”を大事にしていましたので、深い色合いにこだわり微妙な色味の調整を行い最終的にこの3色に決定しました。この深い色合いと透明感を実現するために、携帯電話で使われるのは世界で初めての素材を採用しました。その素材によって、このようなクリアな透明感と携帯電話としての強度を保つボディを作ることができました。
- ―― 「X-RAY」用に新たに開発したのですか?(びっくり)
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堀田氏
筐体には材料メーカーとガラス繊維メーカーが共同開発した新素材を使用しています。ポリカーボネートという素材に、強度を増すためにガラスファイバーが添加されているのですが、そうすると通常は不純物が入ることで透明性が失われてしまいます。今回の新素材は、透明性と高剛性を兼ね備えていることが特徴となっており、この素材のおかげで携帯電話として必要な強度も保ちつつ、クリアな透明感のX-RAYを実現することができました。
- ―― 吉岡徳仁氏のインタビュー記事も拝見しましたが、KDDI側としてはどういった取り組み方だったのですか?
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堀田氏
一番最初に吉岡さんからデザインの提案をいただいた時に見せていただいたのは携帯電話のレントゲン写真でした。「X-RAY」のコンセプトそのものです。それはただ透明であればいいということではありませんでした。外装のデザインではなく、携帯電話そのものが持つ美しさを表現するため、X-RAYでは内部のメカそのものがデザインされています。吉岡さんが「美しく理想的な基板とはなにか」を考えた結果目指したものは「いかにデザインされていないように、自然で美しい配列をもった基板をデザインするか」ということでした。例えば、基板の形もメーカーさんにいろんなパターンを用意していただき、吉岡さんのイメージに一番近いものを選んでいます。通常基板は緑色なのですが、透過したときの見え方を考え黒く塗装したり、一つ一つの部品の配置や、印字する文字の種類やフォントに至るまで全てデザインされています。これまでの携帯電話の歴史の中で初めての試みだと思いますし、尽力していただいたメーカーさんが一番大変だったと思います(笑)。
- ―― そこまで全部デザインしたのですか?
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堀田氏
表も裏も全部です。キーや液晶が照光する時の光の漏れ方など、そういった細かいところも全部計算されています。3種類のケータイアレンジやサウンドなども新たにデザインしています。
- ―― 携帯の表面造形ではない、基板のデザイン。そういった専門電子部品の場合はデザイナーの方もどういった取り組み方をするのでしょうか。
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堀田氏
全てを好きなように作れるわけではありませんので、あるだけの種類のサンプルをメーカーさんに用意していただき、その中からイメージに合うものを選んだり、とにかくモノを見て判断することの繰り返しでした。吉岡さんの方であらゆる基板の研究やデザインの検証をされていて頭の中でイメージされているものがありましたので、決断は非常に早かったです。部品の配置はメーカーのエンジニアの方とコミュニケーションを密に取り一つ一つ問題点を解決しながら進めていきました。例えば、「基板や部品を黒く塗装したい」と吉岡さんが仰ると、エンジニアの方が様々なところに確認をし方法を見つけて実現する、という感じでした。
- ―― 具体的なキーの操作感のような部分はどうなのでしょうか。
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堀田氏
キーの操作感はKDDI側で押し易さや使い易さを重視して決めています。キーの操作感というのは、人それぞれ使い方が違いますし好き嫌いがありますので常に一番難しい所だと思います。
- ―― 最近は指紋が付きにくいことをアピールする端末が増えていますが、むしろ指紋が付きやすい端末にしたのは、どういったこだわりなのでしょうか。
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堀田氏
指紋が付きやすい端末にしたかったわけでは決して無いのですが。。今回のガラスのような透明感はデザインで一番大事な部分だったので、指紋が目立ってしまうことは仕方がありませんでした。ただ少しでも指紋が気になるお客様のために、と思い周辺アイテム(X-RAY CLEANER CASE)を用意させていただきました。指紋を拭き取るクリーナー素材でできたケースです。高井氏
税込1,300円で販売しています。ケースの中に端末を入れた状態で指紋を拭き取ることができます。
- ―― 拭くストラップは考えなかったのですね。
堀田氏
透明ということで、傷が付きやすいんじゃないか?と気にする声があったのでケースは是非準備したいと思っていました。
- ―― 実際には傷が付きやすいのですか?
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堀田氏
先程お話しした通り、強度も考えた素材を使用していますので、傷が付きやすいということはございません。通常の端末と同等の品質は保たれています。
- ―― 光LEDの文字が決められないというのは何かこだわりからでしょうか。
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堀田氏
仕様の問題が大きいです。役割としては通常の携帯の時計や着信を確認するサブ液晶と同じなのです。大きく目立つので、自分でカスタマイズしたい、という声は発売後も多くいただきました。実はこの7×102ドットのLEDサブディスプレイもX-RAYのために開発したものです。流れる文字のフォントもオリジナルフォントとなっています。文字の流れるスピードや輝度は設定により変更できるようにすることができたのですが、カスタマイズは実現することができませんでした。ただ、少しでも、と思い「HAPPY NEW YEAR」や「MERRY CHRISTMAS!」等、計9つのアニバーサリー表示がされるといった、ちょっとした遊びゴコロを取り入れています。
- ―― サブ液晶と考えると納得ですね。そうなると、閉じたまま表示出来ないのちょっと不便ではないですか?
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堀田氏
サイドキーも開発の中で議論はあったのですが、デザイン的に余計なモノをそぎ落としてシンプルにしたい、ということからあえて側面部からキーを無くしました。いろいろな意見はあると思いますが今回は全てのキーを内部に集約させました。
- ―― なるほど。着信ランプの光が小さくて弱いように感じるのも何かこだわりがあるのでしょうか。
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堀田氏
着信ランプはデザインの上でこだわった部分の1つでもあります。光源を面で見せるのではなく、小さな点から明るい光を放つ、最初に吉岡さんから出てきたアイデアは本当に光ファイバーを入れて光らせようというものでした。
- ―― クリアに透ける基板と光ファイバー的な光・・・。納得です。すべてデザインだったのですね。ところで、実際に購入した世代は狙っていたユーザーターゲットに合っていましたか?
堀田氏
そうですね、20代~30代男性が中心になっています。ターゲットを意識したデザインの一つとして、わざと見える部分にバイブのモーターを入れていて、着信の時などモーターがクルクル回るのが見えるようにしました。30代の男性にはかなり刺さるようです(笑)。
- ―― あ、本当だ!これは刺さります~(笑)。基板が見えるロボットプラモデルを作っていた世代には堪らないですね。
- ―― ところで、周辺アイテムの中でこの置き台はちょっと特殊ですね。お幾らなのでしょうか…。
高井氏
税込93,000円です。30台限定で、吉岡さんのサインとロットナンバーが刻印されています。スタンド越しに着信があった場合のLEDの美しさを見ていただきたいと思います。
- ―― アイテムとして、着信ランプの上に付けるチャームがあります。せっかくの光ファイバー的な光を覆ってしまうアイテムは必要だったのですか?
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高井氏
吉岡さんは「スワロフスキー銀座店」の空間デザインも手がけられており、着信ランプを透過してスワロフスキーが光ったらきっと綺麗なのでは、とご提案いただきました。堀田氏
iidaの周辺アイテムは、携帯電話の世界観を更に広げるという目的も持って企画しているのですが、このスワロフスキーのチャームってまさにそうだと思うんです。X-RAYはどちらかというと男性的なデザインだと思うんですけれども、このチャームを1つ付けるだけでがらっと印象が女性的に変わってしまうんです。
- ―― あ、本当だ!印象が全然違いますね。女性っぽく見えます。
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高井氏
男性にも好評なんですよ(笑)。付けるとまったく印象が変わりますので、二倍楽しめると思います。スワロフスキーは、サイズ、カッティング、色等種類も非常に豊富です。その中から色々サンプルを取り寄せて、色合わせ等をして、今回の商品に決定しました。
- ―― そんなに大変な作業だったのですか!
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高井氏
スワロフスキーは裏側に貼ってあるホイルに光を反射させて光らせているのですが、このままでは着信ランプを透過しません。そのため、ホイルを削って着信ランプを透過させる必要があり、削り具合を何パターンも作成しながら調整しました。また、端末に貼った時に剥がれにくく、かつ端末を傷つけない、その度合いも工夫しました。
- ―― 自分で別で購入したモノを貼ったとしても、こんなにキラキラしないんですね。なるほど、これこそ専用アイテムですね。
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高井氏
簡単そうに見えて、実は一番苦労したアイテムです(笑)
- ―― 最後に、一言よろしくお願いします。
堀田氏
デザインはもちろんですが、スペックも満足いただけるモデルになっているかと思います。現在も発売中ですので、店頭で手にとってご覧いただけたら嬉しいです。
- ―― 本日はありがとうございました。
今回は通常のインタビューとは違って、発売から時間が経っていることから、様々な情報を元にお伺いしました。機能なのか、デザインなのか。知っているだけで見方がまったく変わりました。こだわりのデザインと申し分ないスペックを持ち合わせた「X-RAY」。実機を触らないと判らない部分も結構あるので、気になる方は是非店頭で確かめて見てください。 -



